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清き流れに　戸地川の自然を守る住民運動の軌跡
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守る会が暴力行為を行なっていたのなら、 この運動はおしまいだと思って来た」とい われた。 　その日再び先生を両津港まで送るその足 で、相川警察署に由利子、藤下との三名で 寄った。 　係官に先生が名刺を渡すと、驚いた顔を して「あのことでわざわざきたのですか」 と言った。あのこととは、あの程度のこと での裏返しである。「そうですよ」と先生 が答える。 　坂東先生と由利子が並んで座り、藤下は 対角のソファーに座り、係官は中心の椅子 に座って話しをすすめた。由利子が午前に 行った病院の、全治二週間の診断書を係官 に渡して話が始められたが、先生が暴力行 為のほか、器物破損の件での告訴の話を持 ち出すと、係官は態度を一変した。由利子 に向かい「相手は謝るといっているんだ、 弁償もするといっているんだ、あの時あな たはそんなこと言わなかったじゃないか」 と言った調子で、そのことに先生が口をは さむと、「お宅に聞いているんじゃないん ですよ、一寸だまっててください！」と言っ た調子であった。由利子が「弁償するといっ たってあやまりもしないし、勿論弁償もし ないでしょう、だから告訴します」と‥言っ ても係官はじっと由利子を睨んだまま、 「相手は謝るし、弁償もするといっている んだ」と繰り返した。船の時間が迫ってき たので先生が「いこういこう！後ではっき りと気持の整理がついたら私のところに連 絡をよこしなさい」と席を立ち、私たちは 警察を出た。係官はずっと先生の後姿を睨 んだままであった。「なんだあの態度は、 警察官はおきたことに対してきちんと仕事 をすればいいのだ」と憤慨していた。 　警察がなぜああもかたくなに、加害者擁 護のような応対になったのかはわからない。 まして弁償云々に関する事は、むしろ民事 に関係することだ。警察は民事不介入じゃ ないのか。またその日、先生は相川警察署 で、たまたま新潟西警察署の警官（私服で あった）と会ったが、戸地川の問題に話が 及んだとき、「戸地川の問題は複雑だそう ですね」とその警官はいっている。本間た

か子会長の所へは、公安関係の人が訪ねて きたというし、何か大いなる力でも背後に あったのだろうか。 　そして事実、Ｍは由利子に対して、全く 謝りもせず弁償もなかったのである。 　この件には後日談がある。書類送検する といい、それから一月以上経ったから、そ ろそろ届いている頃だろうと会議の帰りに 佐和田の検察庁へ寄った。この事件の調書 を閲覧しょうと思ったのである。調書のコ ピーは出来ないが、筆記写しは可能だから である。しかし応対した職員は「そんなも のは届いていない」とつっぱねる。さらに 内容を説明し食い下がると、「まだ白紙状 態だ」といわれた。そしてこの件で十月十 日に由利子は警察に赴いている。 　 　以下田利子ノートより。 一〇／一〇　ケイサツに行く 　　　　　　　（どうなっているかときく） 　　　　　・上へは先月送った、今は忙しい。 　　　　　・わたしとMUの事で会社は関係な 　　　　　　し、男と女の力の差、後で通知が 　　　　　　くる。 一一／二一　検察庁へ約一時間、ショッ 　　　　　　ク、そんなところへ一人で行くあ 　　　　　　んたが悪いって。 　すべてがこんな調子である。職場で仕事 をしている最中に起した暴力事件を、会社 は関係なしと言い、ひとりで行ったあんた が悪い。一人でいったから暴力をうけた。 暴力を受けるのは当然だと言わんばかりに、 警察側が暴力を肯定しているかのようでさ えある。 　いったいどう、なっているのやら・・・。

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