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育苗センター竣工式経過報告
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相川町役場農林水産課の御指導に依り育苗センターの施設が昭和四十八年度の新潟県農林水産業開発事業として申請することに決定しましたのは昭和四十七年十二月ニ十二日の理事会でございまして、敷地につきましては色々物色しましたが適当な処がなく結局戸地川の河川敷地がよかろうということになり、地元部落を通じ払下げの申請を致したのでございますが公共用地が払下げの決定をみるまでには少くとも四・五年はかかるということで、近藤県議の御力を御借りして相川土木事務所に陳情しました結果、公共用地の使用許可申請に切替えてようやく認可を戴だいたわけでございます。 育苗センターの県単事業採択申請につきましては第一次査定に保留となりましたが、これも近藤先生に御足労を願い県の農政企画課長に御逢いしまして懇請いたしました処、圃場整備を行わないことには折角の施設も充分の効果を発揮することは出来ないとのことで難色を示しましたので早速小規模の畦ぬき程度の圃場整備の希望をとりまとめ県単事業の採択申請をいたしました処、新穂の農地事務所から現地調査にまいりまして地形や土質の関係もあるので二・三年調査検討を要するということになりましたが、近藤先生始め支庁の田原農政課長さん桑原係長さんの御力に依りまして御採択を畝だいたのでございまして高い処ではございますが厚く御礼を申し上げる次第でございます。 　工事の入札は昨年の九月二十九日でございまして育苗施設は新潟資材株式会社、機材の格納庫は北狄部落の佐藤賢一さんが落札し、着工は育苗施設が昨年の十月二十日、格納庫が十一月三日完成は育苗施設が今年の三月二十八日格納庫が昨年の十ー月二十日でございます。 　御承知の通り昨年十月勃発した中東戦争に端を発した石油危機に依り、にわかに資材は姿を消し、いわゆる物価狂乱の真っ只中の工事でございましたが、しかも天候も昨年の暮れから今年の春にかけて非常に悪かったのでございますがインフレ条項の適用も返上して誠実に施工され遂に完成をみたのでございます。 　総工事費は一二、三三九、三九五円内育苗施設が五、四〇〇、〇〇〇〇円機械器具が七四四、一〇〇円、硬化パイプハウス一、〇六五、四九五円、田柚機械が十二台で一、七一四、八〇〇円、苗箱一、六〇〇、〇〇〇円、大型防除機四七五、〇〇〇円、格納庫一、一一〇、〇〇〇〇円でございまして、補助金は県費補助が五、二二五、○○○円、町費補助が八九九、〇〇〇円、合計六、一二四、〇〇〇円で総事業費の約半額の補助金でございまして去る五月三十一日に金額頂戴した次第でございます。県並に町当局に対し厚く御礼申しあげます。特に相川役場農林水産課の佐藤さんにおかれましては企画から完成に至るまで更には補助金の交付申請に至るまで熱心に御指導戴だきほんとうに有難とうございました。 第一回目の播種が四月十三日、第二回目が四月十六日、第三回目が四月十九日と当初機械の調子も悪く随分苦労もしました。特にハウスの組立については河川敷地の為石が多く、更に四月二十一日には折角組立てたハウスを大風に吹飛ばされる等、泣き出したくなるようなこともございましたが案ずるより生むが安いとか第一年目としてはまずまずの成績ではなかったかと思います。 　田植機のオペレーターがなくて心配したのでございますが、一回の講習で各自が技術を習得してまがりなりにも植付を終り、来年はもっと立派にやれるぞと自信を深めたのは私一人だけではないと思うのでございます。育苗期間中は普及所の川井先生始め、佐渡農協本所の営農部の土屋さんには度々御足労いただき熱心に御指導戴き本当に有難うございました。又各部落の農家組合長さんにおかれましては御多忙の処、苗の申込の取りまとめから作業日程の差組にいたるまで御協力を戴き有難うございました。又地元戸地部落の部落長様始め重立の方々には一面イバラと雑木のジャングルであった敷地の刈払い等、御協力を戴だき有難うございました。以上数多くの皆様万の御力添えがあったればこそ工事も後の作業も順調に進んだのでございましてその御好意に対し衷心より感謝申し上げる次第でございます。　最後に皆さんに御伝えしたいのは担当の菊地営農係長が期間中文字通り寝食を忘れて日曜も祭日もなく一切をなげうって、しかも一言の不平不満をもらすこともなく、只黙々と没頭し苗の成育だけが生甲斐であるかの如き真剣そのものの姿には実に頭の下る思いがしたのでございます。本年は始めてのことで成功するか、どうかあやぶまれた面もございまして施設の能力の１／３に当る一八・五ヘクタール分しか苗は出していませんが、来年は申込みも大巾に延びまして五〇ヘクタールから六〇ヘクタール分の稚苗が供給できるものと確信していますので関係者の皆さんには引続き温い御指導、御援助を賜わらんことを御願いしまして経過の御報告を終りたいと思います。
大林藤作
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